オランダ生まれのピラミッド・メソッドは、現在オランダ、ドイツ、アメリカ、そして日本導入
10年を迎え、インターナショナルな交流を行うと共に、今後、国際共通名をオランダ語のピラミッドという意味のPiramide(ピラミーデ)と公称することに決定しました。Piramide(ピラミーデ)は、“世界で一番幸せな子どもたち”と呼ばれる、オランダの幼児教育法の一つであり、ヨーロッパで最も権威のある教育評価機関、Cito(旧オランダ王立教育評価機関)で開発されました。ピアジェとヴィゴツキー理論をバランス良く組み合わせ、新しい動的心理学理論で基礎石(足場)がつくられているこのメソッドは、言語能力と社会適応性の高さが実証されています。小学校に行くまでに子どもたちが身につけなければいけない基礎的なスキルを、一人ひとりの個別発達に合わせてプログラムを進めていくというこの教育法は、オランダ全土の教育現場に取り入れられ、さらにドイツやアメリカにおいても信頼度の高いメソッドとして、広く普及しています。明治以来100年にわたる一斉保育(教育)に慣れてきた日本人にとって、一人ひとりの発達ニーズに合わせて必要なヒントを与え、他の子どもと共同して事物と直接触れ合う喜びを学ばせる、この体験型幼児教育法は新鮮な感覚を与え、現在日本の幼児教育の現場でも注目されています。
Cito(シト) は、オランダを拠点とするテスト・測定分野のリーディング・カンパニーのひとつで、1968年にオランダ政府により設立され、1999 年に民営化されました。現在では世界30カ国の教育機関と協力のもとに質的に高い教育・言語・人材育成のプログラムを展開する、欧州最大の教育評価(学力テスト)機構となっています。人の潜在能力を観察・測定することを事業の中核とするCitoの教育テスト開発の中でも85%のオランダの小学生が利用するテスト「End of primary school test」が有名で、子どもたち一人ひとりの学習習熟度を調べています。(試験内容は、言語・算数/数学・学習スキル・ワールドオリエンテーション(地理・歴史・生物・物理・市民科・宗教運動の教科で学んだ知識の応用)初等教育だけではなく、中等教育向けのテストやシステムの開発も手がけ、そのテスト結果は成績の経年比較なども行い、教育政策の改革に役立てられています。
●IAEA:世界教育評価協会メンバー
●ALTE:世界言語検定テスト(TOEFL等)ヨーロッパ本部
●PISA:OECD(経済協力開発機構)の学習到達度調査協力機関
ユニセフが1997年に発表した子どもの幸福度調査で、オランダは1位に選ばれました。オランダの子どもたちは学校生活に満足し、友だちや親との人間関係も良く、子ども自身が幸せを感じている度合いが他国よりも高いのです。この秘密はなんでしょう。もっとも注目すべきはオランダの教育法です。
Piramide(ピラミーデ)の開発者、カルク博士のことばを借りれば、つぎのような教育理念がオランダの幼児教育の基本にあります「子どもの自己選択で始まり、自己解決を目指すのが本来の教育である。ただし子どもの自由勝手にさせるのではなく、教師は子どもをサポートしなければならない。だが、主体はあくまでも子どもであり、教師はあくまでもサポーターに過ぎないのだ。」この「自己選択」や「自己解決」の能力が、いわゆる「人間力」の基礎となることをオランダでは教育理念としてかかげ、しかもそれを実践してきました。
Piramide(ピラミーデ)の信念もまさにここにあります。幼児期に自己選択と自己決定を育てることが人生に必要であるというのがカルク博士の信念であり、この信念を教育の方法に具体化したものがPiramide(ピラミーデ)です。これは世界でもめずらしいことです。教育理念は世界中にさまざまありますが、それを方法論として具体化したことがPiramide(ピラミーデ)の特筆すべき点なのです。
国土が九州ほどの広さ、人口が日本の8分の1ほどのオランダ国内では、現在500以上の保育園、750以上の小学校附設幼児遊戯室、1000校以上の小学校がPiramide(ピラミーデ)を採用しています。その中であるオランダの園長先生が語っておられた言葉をご紹介します。
「今日のように、保育者はあまり深い経験を持たずに仕事を始め、また、その多くがパートタイム(交代制)で働き、病欠もよくあるというような時代、私は園長としてリスクを冒すわけにはいきません。つまり失敗を冒さないために完成度の高いメソッドを選びたい。その意味でもPiramide(ピラミーデ)は、私の選択にかなったものでした。このメソッドは、経験豊かな保育者に対しては、自分なりの経験に基づいて内容を膨らませることのできる余地を設け、また、初心者や代用保育者のためには、すぐに失敗なく取り組めるような基礎的な枠組みがしっかり用意されています。」
「カルク博士の幼児教育法教本」より オクターブ発行
Citoがオランダ政府予算で開発したプロジェクトカリキュラム『Piramide』を先進諸国に普及する企画が始まった2000年の始め、モンテッソーリ教具のライセンス、『ニーホイス生産会社』のルージェンダイク氏(当時社長)の推薦で、当法人所長辻井正がCito公認Piramide講義資格者として公認されました。(2001年公認)その後、Piramide(ピラミーデ)開発者フォン・カルク博士から2年間に渡りレッスンを受け、2003年にCitoと日本導入の正式調印が果たされました。その後、カルク博士の度々の来日講演を経て、伝統的な日本的幼児教育とピラミーデ理論との基本的な調整が行われました。
●2001年2月 カルク博士による当研究所所長辻井へのレクチャーが始まる
●2003年5月 オランダ政府教育機構Citoとピラミッドメソッドの提携
●2003年6月 ピラミッドメソッド開発者Dr.van Kuyk来日記念講演
日本では、導入以来「ピラミッドメソッド」と呼ばれていましたが、オランダ・ドイツ・アメリカ、そして日本で協議の結果、国際名をPiramide(ピラミーデ)と称することに決まりました。日本におけるPiramide(ピラミーデ)の名称使用権利、講義権利、及び認定園承認権の全てが、当ピラミーデセンター(NPO法人国際臨床保育研究所)が所有しています。(Piramide(ピラミーデ)は商標登録申請済です。